つくばってどんな街か。住んでいなかった頃は「科学の街?」と思っていた。
そこに住みはじめてはじめのころは、都会的なのは駅前だけであとは普通の田舎だなぁと感じた。
もう少し経ってだんだん慣れてくると、自然がたくさんあって、でもそれなりに都会だし、けっこういいなぁと思うようになってきた。
科学の街っていう印象は、住んでみると意外と忘れてしまう。
住む前に「つくばって、道ばたにいる普通のおじさんが博士ですんごい研究していたりするから面白い」っていう話を聞いて、なんだか妙にワクワクしたけれど、いざ住んでしまうと博士号のはの字も思い出さなかったりする。
でも、車でまちを走ったりすると、幹線道路の脇に巨大な研究施設の敷地がいっぱいあって、ああ、やっぱり普通と違う街なんだなぁと実感したりもする。
印象はいろいろ変わる。
でも、やっぱり強烈なのは、つくばは科学の街だっていうイメージ。
EXPO’85から30年以上経って、駅前のエキスポセンターの閑散とした雰囲気に触れると、なんだか時が止まってしまった街のようにも感じられるけど、確実に、現在進行形で、最新の発明や研究成果がつくばから生まれている。
ここから宇宙と交信しているし、ここから自動運転が進化しているし、セグウェイで公道を走れる日本唯一の街だし(実は走ってるの見たことないけど)。
つくばはやっぱり科学の街なのだ。
と、同時に、EXPO’85の思い出も詰まった、哀愁の地でもあるのだ。
なんだかとても、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が似合う街だと、個人的には思っていて、BTTFのテーマパークとかできたらけっこういいんじゃないかなぁとか思ったりもしている。
結局なにが言いたいかというと、
つくばはやっぱり「科学の街」というイメージで、突っ走っていったらいいんじゃないかなと思う。
そこには夢もロマンも未来もあって、ワクワクする(思い出補正の)過去もある。
2013年に出たPCのシムシティには街の「特化」というのがあって、いろんなジャンルに特化した街が持ちつ持たれつで共存するシステムがあった。
そういう街同士のエコシステムみたいなものって、面白いなぁと思ったりした。
海外には、タイヤ屋さんだけがずらーっと並んでる街があるって聞いて、行ってみたいなぁって思ったし(やっぱり行ってみたいというのは嘘で、そんな街があるのかと感心しただけです)
日本でだって、合羽橋とか、問屋街とか、ジーンズの街とか、うどん県とか、
やっぱりなにかに特化した街っていうのは、とても魅力的に感じます。
つくばだって、それらと同じくらい普通じゃない。
だから、緑があって子育てに便利で東京にも近くて……なんて、どこのベッドタウンにもいえるような、普通の顔をしていたら、もったいないんだと思う。
住んでみれば、確かにそんな普通の街ではあるのだけど。
だから住み心地もよくて、すばらしいんだけど。
日本中には、47都道府県あって、市町村の数は2000弱くらい。
そんなにたくさんあるなかで、誰かに覚えてもらう、気にとめてもらうには、
なにかに特化するのは大事なことだと思う。
たいして関心のないものの情報を、いちいちたくさん覚えようとはしないもの。
「なんでもある」は「なんにもない」に等しい。
なにかを伝えるときに関しては、そう思う。
かくいう自分も、仕事で「なんでもできます」と言ってきたせいか、
あまり人に覚えてもらえていないと思うし、
自分の思考回路を思っても、
なにかひとつ得意なものに特化してる人は、なにかのときに顔が浮かぶ。
もちろんいろんな顔を持っているのが当たり前だし、
そんな多様な街だけれど、
一本大きな街のイメージの柱は、ずっと「科学の街」であってほしいなと思ったりする。
それはもしかしたら、
EXPOをまったくかじってない世代には、まったく響かないものだったりもするのかもだけど。